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調査研究の成果を反映させて、伊藤小坡に関する美術講座と、伊勢を中心として、三重にゆかりの深い美術についての講座を、昨年4月から毎月1回、土曜日の午後2時から学習室で開催しています。
これまでに、「伊藤小坡の芸術について・・・「ふたば」を中心に・・・」、「橋本平八の木彫」、「伊藤小坡の芸術・・・『伊賀のつぼね』を中心に・・・」、「中村左洲の日本画」、「伊藤小坡の芸術・・・『幻想』を中心に・・・」を開催しました。
今年のスケジュールも随時、下記にお知らせ致します。
女流日本画家伊藤小坡幻の名作「山内一豊の妻」、76年ぶりに公開
2018年に迎える伊藤小坡没後50年を記念して、9月13日(火)から、猿田彦神社伊藤小坡美術館で公開することになりました。
伊藤小坡(1877〜1968)は、猿田彦神社の宮司を父として伊勢に生まれました。幼少期から好んで絵を描き、22歳の頃に京都に出て本格的に絵を学び、後に、上村松園と並んで京都を代表する女流画家と称されるようになります。
本作は、1940年(昭和15年)に国家行事である紀元二千六百年記念行事のひとつとして開催された大規模な展覧会「紀元二千六百年奉祝美術展覧会」に出品されて注目を集めました。ところが、その後、行方がわからず、現存すら危ぶまれていました。今回の公開は、1940年の初出品以来76年ぶりの公開となります。
本作には、奉祝美術展覧会を記念して製作された色刷り絵葉書が残っています。また、伊藤小坡美術館には、筆書きによる原寸大の下絵が収蔵されています。本作の色と大きさは、絵葉書と下絵により想像が可能でした。しかし、今回本作の発見により、想像を超える美しい出来栄えの作品であり、小坡を代表する名作であることが明らかになりました。また、保存状態が極めてよいことも作品としての価値を高めています。
「山内一豊の妻」は、織田信長や豊臣秀吉に仕え、のちに土佐藩の初代藩主となる山内一豊を内助の功で助けた賢妻の逸話が描かれています。司馬遼太郎の小説「功名が辻」やそれをドラマ化したNHKの大河ドラマでも知られているところです。
小坡の作品は女性像を描いたいわゆる美人画が大半を占めますが、単に女性の美しさを描くだけではなく、女性のうちに潜む強い意志と凛とした美しさを描くところに特徴があります。「山内一豊の妻」は、まさに小坡ならではの作品ということができます。
◎秋の常設展の内容
(1) 「山内一豊の妻」76年ぶりの公開
(2)「烈女形名の妻」、「伊賀のつぼね」、「幻想」、「乳人浅岡」等、伊藤小坡の代表作を展
示します。
(3) その他、秋に因んだ小坡の作品を紹介します。
※秋の常設展の会期 平成28年9月13日(火)から12月18日(日)
2016.12.16更新
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