猿田彦神社から3分ほど歩くと、小さな美術館があらわれます。その名は「伊藤小坡美術館」。明治から昭和にかけて京都画壇の中心として活躍した女流画家、伊藤小坡の作品が展示されています。この伊藤小坡、じつは猿田彦神社宮司家の娘。京都で活躍し、竹内栖鳳の門下生となり、数々の名作を世に送りだしました。その絵は、何気ない生活の一場面から歴史・物語の舞台まで、さまざまな状況において、自分らしい生き方を貫く女性の姿をとらえています。
美術館に収蔵された作品は、作者のすばらしい筆致だけでなく、女性に対する独自の美学を伝えています。たとえば、戦場で夫を励ます妻、亡霊を追い払う勇敢な女性、幼君を守ろうとする乳母など。絵の中に描かれた女性たちは、ただ美しいだけでなく、凛とした強さにあふれており、これから夫とともに家族を支える新婦に、女性としての道を示してくれます。土蔵を模した白壁の美術館には、伊勢の山々を見晴らす庭園もあります。ぜひ挙式打ち合わせなどの折りにお立ち寄りください。